サプリメントアドバイザーが
社会に果たす役割
21 世紀に入り、日本の少子高齢社会は益々深刻化している。従って、近年加齢に関する研究では、長寿に関わる機能食品成分の働きが注目され、サプリメント(栄養補助食品、いわゆる健康食品)を利用する消費者も年々増加している。2012年内閣府、消費者委員会の調査によると日常生活で、現在6割以上の日本人がサプリメントを利用しているとされている。その市場規模は、年間で約1兆5600億円とも言われている。それはサプリメントに用いられる機能性成分に関して有効性と安全性を示すエビデンスが構築されており、適応のある疾患や病態に対して、適切なサプリメント製品を適正に使用すれば一定の効果が期待できるからである。一方で、広告等の口コミや有効性を語る体験談を信用して購入する人も少なくない。
実際サプリメントによって、病状の改善など恩恵を受ける場合がある一方で、サプリメントの摂取に伴う健康被害、有害事象も報告されている。これは、健康食品やサプリメントの取り扱い方における認識に問題がある様に思われる。サプリメントや健康食品は医療とは異なり、その摂取は患者ではなく一般の消費者によって行われる。これは健康食品と医薬品を併用する場合においても同じ事が起こる。というのも患者が医療品と健康食品を併用して摂取してしまうケースがあるのだ。しかしながら、医療品と健康食品とはそもそも医薬品であるか、栄養補助食品であるかという本来の目的が異なり、それに伴って果たす役割が異なる。それらを一緒に摂取する際にはその相互作用に注意する必要がある。しかしそれにもかかわらず患者が併用することを医者や薬剤師に伝えておらず、それによって有害事象が起こるケースもある。この医療品と健康食品との違いや併用による問題などを医者や薬剤師などの専門家に相談することの重要性や必要性を社会に促す存在としてこれからの時代においてサプリメントアドバイザーの有用性や重要性は高まっていくと思われる。
今日の社会において、サプリメントの必要性が高まって来ている中、適切にサプリメントと共に健康を維持し豊かな生活を送るためには、年齢を問わず各人の健康に対する努力と家族や地域社会単位で、周囲の協力が必要になる。まさに、サプリメントアドバイザーがその手助けとなれるだろう。
サプリメントについて
健康な状態で長生きしたいということは、多くの人にとって共通の願いだと考える。その、ヘルシーエイジング・健康長寿の達成には、適切な食生活と運動習慣の維持が基本となる。サプリメント(Supplements)はその名の通り、(Supply:供給する)という意味があり、普段の食生活で足りない部分を補うことが役割である。「サプリメント」という名称は、英語の 「ダイエタリーサプリメント(DietarySupplements)」に由来し、実はその用語に行政的な定義がない。一般に、健康食品とは「健康の保持増進に資する食品全般」のこと。また、サプリメントとは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」がそれぞれ該当すると考えられている。しかし、明確な定義がないため一般の消費者が認識している健康食品やサプリメントは、通常の食材から、菓子や飲料、医薬品と類似した錠剤・カプセルまで極めて多岐にわたる。消費者が利用する保健機能食品等には、従来の単なるビタミン、ミネラル等の栄養成分のみならず、種々の生理的機能に影響を与える非栄養成分が含まれており、また、その機能も多岐にわたっている。これら食品の機能に関する科学的根拠を示す資料は多岐に渡り、また、その成分の有効性が十分に理解されていないものもある。
このことからも、消費者に対して、、保健機能食品等に関する適切な知識、少なくとも、これら食品が持つ有効成分を適切に活用するための知識を習得しておく必要がある。すなわち栄養素とその栄養機能、保健の用途に関する食品の成分とその機能適正な摂取方法、過剰摂取の防止並びに食品と医薬品との相違などを十分に理解している必要がある。
少子高齢化とヘルシーエイジング
昨今、少子高齢化が問題となっているが、我が国の急激な少子高齢化の主たる要因としては、出生率の低下による少子化と平均寿命の伸長の二つがあげられる。これほどに日本の少子高齢化が進んだ主たる要因としては、 女性の晩婚化と出産年齢の高齢化、さらには未婚化という社会現象が考えられる。平均寿命の伸長は、2段階の死亡率低下によってもたらされた。まず、戦後の栄養状態の改善や公衆衛生の発達、抗生物質の開発普及をはじめとする医学・医療技術の発達、医療施設の整備、医療保険制度の整備、感染症の予防対策などによって、乳幼児や若年者の死亡率が低下し、平均寿命の延びがもたらされた。次いで、近年における平均寿命の延びは、国民の健康への配慮が高まった事や目覚ましい医療技術の発達により、脳血管疾患における死亡率の低下や病を抱えながらも延命が図られるようになり、主に中高年における死亡率が改善されたことが影響している。これらの要因は経済的に豊かな先進国によく見られる特徴でもある。
かくして、政府は20世紀初頭からヘルシーエイジング(HealthyAging)の考え方を目指すとして、本腰を入れて取組みを進めている。ヘルシーエイジングとは、健康寿命、つまり、平均寿命の中でも、健康で居られる期間のことをさし、その期間が長ければより健康に生きられることになる。平均寿命と健康長寿との違いは日常生活に制限のある(不健康)期間である。ヘルシーエイジング・健康長寿の達成には、こころ、身体、精神の健康が大切である。日常生活では、適切な食生活と運動習慣の維持が基本となるが。加えて近年,加齢のメカニズムに関する研究が飛躍的な進歩を遂げてきた。長寿遺伝子が見つかり。さらに、サプリメント、健康食品についても、多くの研究による知見が集積されており、長寿遺伝子の活性化をもたらす機能性成分も知られている。そのほか、サプリメントでは、病気の第一予防や第二予防、第三予防における臨床の適用の有効性を示すデータが示されている。したがって、健康長寿に寄与する機能性分をサプリメントとして上手利用することが、ヘルシーエイジングにおいても有用と考えられる。サプリメント(栄養補助食品、いわゆる健康食品)を利用する消費者も毎年増加している中、栄養補助食品、サプリメントの適正な使用について、。
サプリメントの説明をするときには、まず、サプリメントアドバイザーは医者ではないことを相手に伝え、理解してもらう。そして、相手現在の食生活、生活スタイル、日頃の運動量,仕事内容の状態を聞き、次に、サプリメントを摂取する目的を聞く。一方、特定の疾状に対して、2〜3カ月程度を目安として摂取し効果を判断する事が大切である、その他、健康増進する際には使い続ける事が必要になる。サプリメントは急に効果が現れるものではないので、逆効果である場合もある事を十分に理解している必要がある。あくまでも、サプリメントは栄養を補助するものであり、食事に注意を払いながら、健康を維持位していくことが基本だからである。
米国の食事ガイドライン委員会によると人間の生存および健康維持には40種類以上の栄養素の摂取を必要とするとされているが、しかし実際に現代社会でこの指針通りに栄養を摂取することは非常に難しく、更に言えば、摂取できたとしてもその栄養素はすぐに体内で吸収・分解されてしまう。これらのことから、サプリメントによる栄養摂取の手軽さと利便性がうかがえる。無論サプリメントは万能薬ではなく、あくまでも栄養を補助する目的に作られている食品である。健康を維持するには適切な食事、生活習慣に運動や休養を取り入れることも大切である。
世界保健機関(WHO)憲章には以下のように謳われている。「到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、。全ての人民の健康は、平和と安全を達成する基礎であり、個人と国家の完全な協力に依存する」こうした中、国民一人一人が心豊かに生き生きと過ごせるようにしていくためには、単に長寿であるだけでなく、いかに健康に過ごすことのできる期間を長く保つか、すなわち健康寿命の延伸と、それによる健康長寿社会の実現に、、また、保健機能食品等に関する適切な知識を正確に相手に伝える事がその社会に果たす役割だと考える。
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